今週の松竹梅第551号「2024年、圧倒的な出口対策を考えましょう!」
ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】
配信日:2024年1月9日
こんにちは。 2024年は元旦にいきなり能登地震があり、災害でのスタートになりました。私は石川県人ですが、現在の実家は金沢市南部に隣接した野々市市です。このあたりは特段の被害はなかったようです。何件かメール、電話等で安否確認連絡いただき恐縮です。2024年の私のテーマは「圧倒的な出口対策」です。会社経営や投資に保険、すべて「入口」については、皆さんまあまあ理解できているはずです。では、出口はどうでしょう?いつ終わらせるのか?終わるとどうなるのか?ほぼ考えたことがないのでは?出口は、気力も体力も衰えた晩年に、嫌でも選択をしなければいけません。間違った選択、無理解で、長い晩年を悔いが残る人生にしてはいけません。私も60代前半、微妙な年代です。一緒に「圧倒的な出口対策」を考えましょう!
【今週の松】 「ねんきんネットの試算は超便利!」
「ねんきんネット」を使ってますか?改めて次回以降何度か取り上げますが、65歳での受給見込みだけでなく、75歳までの繰り下げ受給試算もサクッとできます。試算そのものはすぐできるのですが、大事なのは、現在の収入見込と組み合わせて晩年のライフプランを考えることです。考える要素は、いつまで他の収入があるのか?年金控除差引での税負担、社会保険料負担も考慮して手取りはどうなのか?遺族年金は加算されるのか?繰り下げ受給のメリット・デメリットは?などを掘り下げる予定です。
【今週の竹】 「小規模企業共済はどう解約するのか?」
個人事業主、会社役員の最強節税商品「小規模企業共済」はすでにかなりの方が加入しているはずです。では、この共済はいつ解約すれば良いのでしょうか?小規模共済の円満なゴールは「共済金A」か「共済金B」のどちらかになります。「共済金A」は法人解散や個人事業廃業など、「共済金B」は65歳以上で役員退任、または65歳以上かつ加入期間15年以上などです。とすると、「共済金B」が現実的ですね。共済金は一時受取(退職所得扱い)か分割受取(公的年金扱い)か、一部を一時受取、残りを分割受取も可能です。65歳で共済金Bを申込み、退職所得による課税が発生しない範囲で一時受取、残りを10年分割受取、年金を75歳まで繰り下げ受給すると、退職所得控除も年金控除もしっかり使えて、繰り下げ受給分の年金も増えて、長寿リスク対策も出来るかもです。もちろん他の収入や健康状態も見極めての判断になります。
【今週の梅】 「新相続時精算課税制度スタート!」
贈与税制度の大改正が2024年1月1日からスタートしました。贈与税は年中質問が来る税目です。残念ながら、質問者はあまりにも非課税ばかりに意識が偏っていて、自分がどうしたいのか、子供にどう残すのかは二の次のようです。さらに残念なのは、相続税を払うのがどうしても嫌だから贈与(もちろん非課税枠で)するとの相談です。払うのが嫌になるほどの相続税ならば、贈与も非課税枠では追いつきませんよね。相続時精算課税制度は、使いようによっては強力なツールですが、危険な制度でもあります。このあたりも改めて取り上げる予定です。
【松ちゃんの独り言】 「DIE WITH ZERO」
年頭にビル・パーキンスによるベストセラー「DIE WITH ZERO」を読みました。内容は、日本人には過激な内容で、「(金を使い切って)ゼロで死ぬ」ことをすすめています。もちろん、アメリカ人にとっても衝撃の提案ですが、死ぬ寸前に思うことは、金融資産の残額ではなく、楽しいこと、やりたいことを時間と金をかけてやりきった思い出のはずだ、とのことです。現実に、老人施設で利用者がスタッフにこぼす愚痴のベスト1は「もっとやりたいことをやれたのでは?」、ベスト2は「あんなに働かなくてもよかった」だそうです。なお、子供に残さないのか?との疑問に、ビル・パーキンスは明快に回答します。「その子供たちが一番必要な時に渡せば良いじゃないか!」「90歳の時に溜め込んだ金を65歳の息子に渡してどうするんだ?」過激ですが、一理あって冷や汗ものですね。
それでは、次回もよろしくお願いします。
【松本直樹のプロフィール】
- 1960年
- 石川県金沢市生まれ
- 1984年
- 金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
- 1984年
- 太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
- 1992年
- 証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
- 1992年
- 太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
- 1995年
- 宅建主任者試験合格
- 1996年
- 税理士試験会計2科目合格
- 1997年
- 税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
- 1999年
- 松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
- 2006年
- 株式会社ケーエムエスを設立
- 2014年
- 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
- 2016年
- 合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
- 2018年
- 経営革新等支援機関認定
- 2023年
- 「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版