今週の松竹梅第561号「課税されるかどうかが明確ではない?個人事業税②」
ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】
配信日:2024年3月18日
先週末、所得税確定申告書と贈与税申告書の提出期限でした。松本事務所では、101件の申告書を作成・提出しました。毎年多くの方が医療費控除対象として領収書を送ってきます。いまさらですが、医療費領収書集めのコツは、年初から箱か袋に集めておいて、年末に整理することです。マッキヨやコンビニで購入した医薬品でも治療用ならありです。
【今週の松】 「生保営業マンに個人事業税課税?」
先週から引き続き、個人事業税の話題です。まず、保険外交員いわゆる生保の契約営業マンについて。2019年になって、東京都が事業所得で申告している生保営業マンに、突然個人事業税を課税しました。この法的根拠ですが、個人事業税の対象業種が限定70業種であることは、先週お伝えしましたが、この中に「保険業」があります。しかし、ここではなく、「代理業」に該当するとのことです。東京都のこの判断は、前提として、青色決算書で1300万円も交際費を計上した保険外交員に個人事業税を課税して、審査請求で東京都が勝った事例が2018年にあります。その翌年から、東京都は一斉に課税通知書の送付に踏み切ってます。
【今週の竹】 「契約システムエンジニアも課税?」
正社員ではないITフリーランスは、税務的にも、労務的にも問題になりやすい働き方なのですが、個人事業税の世界でも課税対象なのかどうかは大きな問題です。ITフリーランスが個人事業税対象かどうかは、保険外交員よりも判断が難しいらしいのですが、ツボらしきポイントは存在するので、個人外注者に「業務委託」している経営者は、ぜひポイントを抑えてください!
【今週の梅】 「業務委託はセーフ?請負はアウト?」
結論から伝えますと、例によって、70業種のどれに該当するかですが、「業務委託」は70業種のどこにも該当しないが、「請負契約」だと、「請負業」に該当するため課税するのが東京都の見解とのこと。なんと、自治体によって見解や判断基準はバラバラなので、同じ会社に属する個人外注者でも、住所によって、個人事業税を課税される方とされない方が存在することもあり得ます。以下、契約内容や実態によっては、消費税、源泉所得税、社会保険加入にも影響が出る内容ですので、以下、次号!でお願いします!
【松ちゃんの独り言】 「結局のところ必要経費はどこまでありなのか?」
個人事業主の必要経費は、結局のところ、どこまで認められるのでしょうか?所得税法上の必要経費は、実は厳しいハードルなので、粗利率が高い業種、医師、土木業、コンサルタントや歩合営業マンなどは、非常に危険な申告書を出していることになります。個人的には、私も個人の必要経費は、税務署側から指摘即アウトの認識です。よって、選択肢は2点、法人にするか、指摘すれすれの金額を計上するのみです。「すれすれの金額」とは、内容ではなく、経費規模です。今まで指摘されたことがない、という方が多いのですが、それは、申告書が通ったわけではなく、税務署員が見ていないだけです。
それでは、次回もよろしくお願いします。
【松本直樹のプロフィール】
- 1960年
- 石川県金沢市生まれ
- 1984年
- 金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
- 1984年
- 太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
- 1992年
- 証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
- 1992年
- 太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
- 1995年
- 宅建主任者試験合格
- 1996年
- 税理士試験会計2科目合格
- 1997年
- 税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
- 1999年
- 松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
- 2006年
- 株式会社ケーエムエスを設立
- 2014年
- 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
- 2016年
- 合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
- 2018年
- 経営革新等支援機関認定
- 2023年
- 「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版