今週の松竹梅第562号「課税されるかどうかが明確ではない?個人事業税③」
ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】
配信日:2024年3月25日
前回まで、曖昧な個人事業税の課税基準について紹介しました。今回は、システムエンジニア(SE)の立ち位置によっては、支払い側にも大きなリスクが発生することを説明します。
【今週の松】 「微妙な業務委託契約」
前回では、個人事業税の課税対象として「請負業」が該当しますが、「業務委託契約」は該当しないことを説明しました。しかし、「業務委託契約」もまた曖昧な契約なので、場合によっては、外注費ではなく給与ではないか?と認定されることがあります。支払い側が、そのリスクを認識していないと事態は深刻です。よって、今回は具体的な金額で、そのリスクを理解してください。例えば、毎月55万円の外注者を想定してください。支払い側が、原則課税の消費税課税事業者の場合は、その外注者がインボイス登録事業者でなくても、毎月4万円仕入税額控除を受けられます。
【今週の竹】 「もし給与認定されると・・・」
上記の設定で、税務署側から「給与認定」された場合、まず、消費税の仕入税額控除(毎月4万円)が全額否認されます。また、源泉所得税の徴収漏れで毎月37,740円納付義務が発生します。(扶養親族なしの場合)給与認定後の次の段階で、年金事務所に社会保険加入義務も発生します。月額55万円だと、会社負担の法定福利費は約8万円です。以上の3つの金額を1年分にすると約189万円になります。外注者が複数人の場合は? 3年分、5年分なら?と考えると、経営を揺るがすほどの金額になってしまいます。
【今週の梅】 「外注者に賞与支給?」
若手経営者には、給与と外注費の違いにそれほど関心が無い方も見受けられます。外注者に「賞与」を加算して支払っているケースがあります。もちろん、税務署側から見れば、給与認定されるケースです。若手の個人外注者は、正社員としての働き方を好まない方も多いです。もしも、給与認定されて、社会保険加入となった場合、厚生年金保険料で手取りが減れば、会社側が法定福利費を負担していたとしても、会社側に不満を持つことも大いにあり得ます。外注者の給与認定は、経営を左右するインパクトになりますので、最優先でしっかり対応するようにしてください。
【松ちゃんの独り言】 「みんなの相続パート2制作スタート!」
昨年出版・発行された相続マンガ「みんなの相続」は、今月パート2制作が決まりました!パート2では、4名のゲスト参加もあり、内容がよりパワーアップします。このシリーズ制作の途中経過告知のため、制作チームの公式サイトも企画しています。ご期待ください!
それでは、次回もよろしくお願いします。
【松本直樹のプロフィール】
- 1960年
- 石川県金沢市生まれ
- 1984年
- 金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
- 1984年
- 太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
- 1992年
- 証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
- 1992年
- 太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
- 1995年
- 宅建主任者試験合格
- 1996年
- 税理士試験会計2科目合格
- 1997年
- 税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
- 1999年
- 松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
- 2006年
- 株式会社ケーエムエスを設立
- 2014年
- 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
- 2016年
- 合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
- 2018年
- 経営革新等支援機関認定
- 2023年
- 「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版