今週の松竹梅第569号「税務調査官はなぜ自主修正申告にこだわるのか?」
ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】
配信日:2024年5月20日
先週、マンガ「みんなの相続2」の取材で、新潟県上越市の介護施設「サンクス高田」を見学してきました。この施設は、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、住宅型老人ホーム、介護付き老人ホームと、介護の段階による施設が1カ所に集中しています。100人を超えるスタッフには、施設のすぐそばに施設直営の保育園も備えており、スタッフも利用者も安心の仕組みです。 結構長い時間お邪魔したのですが、印象に残ったのは、スタッフが私に元気に挨拶してくれることと、利用者の表情が穏やかなことです。 長い老後をすごす家として、老人施設の選択は重要ですね。
【今週の松】 「税務調査は粘るほど交渉は有利?」
今回は、コロナ明けで増えてきた法人税務調査ネタから。なぜ粘るほど交渉は有利なのか?を説明します。税務調査で指摘事項があった場合の結末は、自主修正申告か更正決定(税務署が課税する)の2通りです。税務署調査の場合はほぼ自主修正で完了です。松本事務所でも、いまだ更正決定はありません。読者に知ってほしいのは、税務調査官は「更正決定を異常に嫌がる」ことです。これを知っていると、交渉を有利に持ち込めますし、たまに不問になることもあります。しかし、経営者は税務調査を早く終わらせたいので、自主修正申告で「払うもの払って楽になりたい」との気持ちが先行します。しかも、私がキャラ的に頼りなく見えるかもしれません。笑 本音を言うと、税務調査については、まあまあ対応に自信があるので、お任せしてほしいなあ、と考えています。
【今週の竹】 「更正決定処分は税務署長決裁」
調査対象法人が、ゴネて自主修正しない場合は、税務署側は更正決定するかどうかになります。しかし、更正決定は権限が複雑で、必ず税務署長決裁になります。すると、上司は「この程度の案件で更生?お前ちゃんと説明して説得して来いよ!!」と担当調査官に厳しく伝えます。しかし、この段階で、経営者も不安です。こんなにゴネたら仕返しされるのでは?違います。自主修正をすすめる(慫慂)は行政指導なので、従わないからと言って、不利益があった場合、行政手続法違反になり税務署側が法律違反になります。荒れた案件のとき、私はたまに税務調査官にこの話題を出します。
【今週の梅】 「更正決定の理由を書面にしなければならない」
更正決定処分の場合は、処分の理由を具体的に書面にして調査先に郵送することになっています。 この理由を具体的に文章にすることが、税務署側は超苦手です。 そりゃそうですね。「調査の結果」「報酬が高額のため」とかでは理由になりません。「支出に私用のものが見受けられ」いやいや、なぜ私用と考えたのか証明されなければ納得できません。 私は、以前の案件で、「こんな状況で更生決定書に理由書けるんですか??」と調査官を追い込んだことがあります。 私の手法は、実地現場で大人しくしていて、調査官がサクサクメモって早く終わらせようと、結論らしきもの出してきてから試合開始です。出そろってから削っていくイメージです。 よって、現場ではあまり暴れないので、頼りなく見えるかもしれません。 実地調査後に、調査官とサシでの電話交渉から別の顔を出します。笑
【松ちゃんの独り言】 「自宅でのんびりが良いとは思うけれど・・・」
最後の瞬間は自宅か病院かどちら?と聞かれれば、誰でも自宅で、と答えるでしょう。でも現実は病院になりますね。
今回、介護施設を見学して、自宅か病院か?ではなくて、
どこの施設で老後をすごすか、との準備も必要と感じました。
生涯未婚率がじわじわ増えており、「おひとりさま」も普通になりました。
子供や孫に囲まれて大往生が叶わないのなら、好きな土地の良い施設でのんびりすごすのも良い選択かもしれません。
もちろん、施設選びの眼力は早くから付けておくのは必須です。
それでは、次回もよろしくお願いします。
【松本直樹のプロフィール】
- 1960年
- 石川県金沢市生まれ
- 1984年
- 金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
- 1984年
- 太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
- 1992年
- 証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
- 1992年
- 太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
- 1995年
- 宅建主任者試験合格
- 1996年
- 税理士試験会計2科目合格
- 1997年
- 税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
- 1999年
- 松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
- 2006年
- 株式会社ケーエムエスを設立
- 2014年
- 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
- 2016年
- 合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
- 2018年
- 経営革新等支援機関認定
- 2023年
- 「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版