今週の松竹梅第607号「実録:個人商店の税務調査」

ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】

今週の松竹梅第607号「実録:個人商店の税務調査」

配信日:2025年2月17日

2024年分の所得税・贈与税の確定申告シーズンが本格的にスタートしました。と言っても、松本事務所ではすでに25%提出完了しております。今シーズンは不動産譲渡が例年より多く、連日多くの案件が持ち込まれています。そのため資料準備を早めにお願いしています。

【今週の松】 「公園茶店の税務調査」

先週末に昨年10月から延々と続いていた所得税税務調査がようやく決着しました。珍しい展開でしたので、メルマガ読者の参考になるかもしれません。その茶店に実地調査依頼があったのは昨年10月中旬でした。店主はこの場所で60年くらい店を出している方で、90歳近いです。店の主力商品はソフトクリームでしたが、税務署側は仕入個数と売価から計算した売上高がかなり違うとして、推計による3年分売上高をリストにして、納得いただければ修正申告するよう伝えてきました。つまり「売上が抜けている」との指摘ですが、その金額が3年分合計で1500万円近く。店主も私もびっくりで、店主は、そんなに売れてればこんなに苦労しないよ!とがっくり。

【今週の竹】 「あまりにも差額が出た理由は?」

さて、税務調査対応はここからが本当のスタートです。確かに仕入と売上の金額は不自然です。店主に何度も確認しましたが、売上を抜いているとはとても思えません。じっくり話を聞くと、年のせいで、機械にセットするときよく失敗する、出入りの業者や子供に無償で渡している、冷蔵庫の故障で在庫が溶けてしまった、などいろいろな理由が出てきました。それでもなお仕入と売上の金額は合いません。店主は、赤字なのに売上ごまかしていると言われて嫌になったからもう店閉じる!と落ち込んでしまいました。

【今週の梅】 「預金口座に入金がない?」

結論が出ず長期化した段階で、私が税務署側に指摘したのは、「売上が抜けているなら、その資金はどこにあるのか?」です。預金口座は私もチェックしているので、現金入金がほとんどないことを知っていたからです。店主は賃貸アパートを所有しているので、生活資金はそこからでした。そして先週末、税務署側から連絡があり、「銀行調査も行いましたが、問題がなかったので調査を終了します」つまり茶店に関しては、指摘事項はまったくなしとの結果でした。法人の場合はBSとPLはつながっていますが、個人商店の場合はどんなに売上が抜けているのでは?と指摘しても、お金がなければ、抜けたことを証明できません。店主は失敗しないようソフトを作らなくては!と元気になり、「もう1年やってみるか」とのことでした。笑

【松ちゃんの独り言】 「ChatGPT活用のすすめ」

今更ChatGPTを使わない方に活用をおすすめしても、使わない方は永久に使わないのかなとも思います。私は公私とも、かなりChatGPTに頼ってます。まだまだ使い込みが足りないかもしれません。使うほどに思うのは、ChatGPTを使いこなすには質問力と読解力が重要と言うことです。つまり「万能の秘書」を横に置いてその能力を引き出すには、こちら側も聞く力と読む力が必要です。最近は、英語翻訳機能に助かってます。英語が超苦手な私でも、普通に英語メールのやりとりができるようになりました。
 それでは、次回もよろしくお願いします!

松本直樹

【松本直樹のプロフィール】

1960年
石川県金沢市生まれ
1984年
金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
1984年
太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
1992年
証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
1992年
太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
1995年
宅建主任者試験合格
1996年
税理士試験会計2科目合格
1997年
税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
1999年
松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
2006年
株式会社ケーエムエスを設立
2014年
総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
2016年
合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
2018年
経営革新等支援機関認定
2023年
「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版