今週の松竹梅第549号「飲食交際費の1人5000円が1万円に拡大!」
ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】
配信日:2023年12月22日
先週、年に一度の税理士業界イベント「税制改正大綱」が発表されました。125ページありますが、あまり大きな改正項目がなく、しかも、事務負担増加が前提のトホホな内容です。特に所得税の所得控除が、意味なく複雑になるため、もはや年末調整はソフト頼みで、国のメッセージは伝わるはずがありません。そこで、今週のテーマはズバリ「交際費とならない飲食費」に絞りました。
【今週の松】 「交際費にならない飲食費が1人1万円までに!」
法人税法上、「交際費」は原則として経費(損金)になりません。ただし、中小法人は800万円まで、飲食費は1人5000円までならば経費になります。このメルマガ読者は、中小法人経営者が多いので、800万円枠でほぼ収まっているかと。よって、800万円枠がない大企業にとって、1人5000円から1万円の改正は、景気対策の意味が大きいですね。ちなみに、5000円ルールが出来たのは2006年なので、長い間据え置きでした。なお、日本商工会は「1人2万円」を強く要望したらしいのですが、逆に国は据え置き方針でした。きりの良い「真ん中」の金額で1万円に決まったとのことです。
【今週の竹】 「1日に2軒行ったらどうなるのか?」
飲食好きの経営者は、ふと疑問に思うのではないでしょうか?この1人1万円は、店ごとなのかと。安心してください。この1万円ルールは店ごとのカウントです。よって、スタート4名で4万円使って、2次会で4万円使っても、全額経費になります。経営者は「領収書」にこだわるのですが、レシートの方が、人数が印字されているので事務スタッフは処理しやすいですね。
【今週の梅】 「全員社内関係者だとアウト!」
この1人あたりの金額ルールは、「社内飲食費を除く」とされています。「社内飲食費」とは、ほぼ役員や従業員とその親族のみの飲食費です。よって、飲食費については帳簿等に参加者の名前や社名を記録しておく必要があります。社内飲食費については、福利厚生費か会議費の名目があるかどうかですね。もちろん、「社長の一人飲み」は交際費にも福利厚生費にも該当しません。一方、社外会合に参加して自身1名分を負担した場合は、社内飲食費になりません(経費になります)。
【松ちゃんの独り言】 「交際費と消費税」
本日は最後に「交際費と消費税」についてまとめます。1人あたり1万円ルールは、消費税込みでしょうか?抜きでしょうか?抜きなら、11000円ルールになり、少々お得ですね。会社経理が税込み経理なら交際費も税込み、税抜き経理なら交際費も税抜きです。800万円枠についても同じ考え方です。つまり、交際費については税抜き経理を採用した方が有利になりますね。
それでは、次回もよろしくお願いします。
【松本直樹のプロフィール】
- 1960年
- 石川県金沢市生まれ
- 1984年
- 金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
- 1984年
- 太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
- 1992年
- 証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
- 1992年
- 太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
- 1995年
- 宅建主任者試験合格
- 1996年
- 税理士試験会計2科目合格
- 1997年
- 税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
- 1999年
- 松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
- 2006年
- 株式会社ケーエムエスを設立
- 2014年
- 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
- 2016年
- 合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
- 2018年
- 経営革新等支援機関認定
- 2023年
- 「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版