今週の松竹梅第565号「暦年贈与と相続時精算課税をまとめて理解する③」

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今週の松竹梅第565号「暦年贈与と相続時精算課税をまとめて理解する③」

配信日:2024年4月15日

先々週から、贈与をテーマにしてますが、いよいよ本丸である相続時精算課税についてまとめます。 「贈与」での理解すべき事項は、他の税目よりボリュームが少ないのですが、誤解や勘違いが多いので、この機会にしっかり身につけてください。

【今週の松】 「相続時精算課税の概要」

まずは概要から説明します。
制度としては、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫に対し贈与した場合に「選択」できます。
必要なアクションは、贈与した翌年に「相続時精算課税選択届出書」を添付した贈与税申告書を提出すること。届出書は必須で期限である3月15日を1日でも過ぎると相続時精算課税を選択したと認められません。
この提出漏れは意外と多いようです。

【今週の竹】 「相続時精算課税制度の注意点」

相続時精算課税制度には注意点がいくつかあります。まず、この制度を選択すると、「永久に」暦年贈与に戻れません。つまり選択届出書提出後の贈与財産は、相続発生時に相続財産に加算して相続税計算することになります。なお、現金以外の財産を贈与した場合、相続発生時に加算する価額は贈与時の価額になります。よって、株式や不動産など将来価値が上昇しそうな財産を贈与することが効果的です。

【今週の梅】 「税制改正で110万円まで非課税!」

2024年税制改正の目玉が相続時精算課税の110万円基礎控除でした。 暦年課税の場合は、7年しばりに引っかかりますが、相続時精算課税を選択した場合は、110万円までなら相続発生時にも 相続財産に加算する必要がありません。 なお、改正スタートの今年に110万円贈与を実行して相続時精算課税を選択したい場合、申告書はどうするのでしょうか? この場合は、相続時精算課税選択届出書のみ提出することになります。 このあたり、提出もれが結構ありそうな気がします。

【松ちゃんの独り言】 「相続時精算課税選択届出書提出のタイミングは?」

暦年課税と相続時精算課税の違いがなんとなくわかったとして、 選択のタイミングはどう考えれば良いのでしょうか? 暦年課税が7年しばりになったため、ザックリ言うと、7年以内に相続発生しそうになったら、選択届出書提出のタイミングを検討することになりそうです。 しかし、現実には7年以内に親が亡くなるかどうかを判断するのは難しいので、平均余命などから決めておくしかないですね。
 それでは、次回もよろしくお願いします。

松本直樹

【松本直樹のプロフィール】

1960年
石川県金沢市生まれ
1984年
金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
1984年
太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
1992年
証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
1992年
太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
1995年
宅建主任者試験合格
1996年
税理士試験会計2科目合格
1997年
税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
1999年
松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
2006年
株式会社ケーエムエスを設立
2014年
総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
2016年
合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
2018年
経営革新等支援機関認定
2023年
「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版