今週の松竹梅第582号「老後ひとり難民の衝撃」
ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】
配信日:2024年8月26日
このところ大きな社会問題になりつつあるのが「一人暮らしの高齢者」です。この問題をまとめたのが最新のベストセラー「老後ひとり難民」です。ただし、ほとんどの方が、実感として他人事ではないでしょうか。私は、誰にでも起こりうる可能性があると感じました。「家族に迷惑かけたくない」「周りに迷惑かけたくない」とよく聞きますが、果たして「迷惑」をかけていないのでしょうか?
【今週の松】 「身元保証人がいないとこうなる!」
日常生活に支障なく生活している一人暮らしの高齢者は珍しくありません。しかし体調が悪化して初めて自分の状況に気がつくことになります。今の日本では、身元保証人がいないと、ほぼ病院に入院できませんし、施設にも入居できません。そもそも「同意」がないので、手術や治療もできない場合もあります。そもそも、救急車で運ばれた場合、自宅から身の回りの物を持ってきてくれる人がいません。健康な方だとしても、身元保証人がいないと、新規の賃貸住宅契約はほぼできません。つまり引っ越しもできなくなります。
【今週の竹】 「一人暮らし高齢者が亡くなると」
一人暮らし高齢者が亡くなると、どうなるのでしょうか?自治体によって対応は違いますが、「とりあえず」戸籍等から親族を捜すのですが、連絡が取れないことが多いとのこと。そりゃそうですよね。戸籍には電話番号もLINEアカウントも記載がないですから。連絡が取れても、「関わりたくない」「連絡されても困る」との対応も少なくありません。そうなると、最低限の費用で火葬され「無縁仏」として埋葬されます。その手続きや費用負担も自治体と決まっているわけではありません。埋葬後に、「家族と連絡が取れなくなった」と名乗り出て、「なぜ勝手に埋葬したのか」とトラブルになるケースもあるとのこと。
【今週の梅】 「身元保証等高齢者サービス事業者とは?」
国や自治体も、一人暮らし高齢者問題に取り組み始めました。具体的には、「身元保証等高齢者サービス事業者」の制度化です。この事業は大きくわけると「身元保証サービス」「日常生活支援サービス」「死後事務サービス」の3種類です。ただし、現状では費用体系が曖昧で、各法律の壁も多く、機能するかどうか、まったくの未知数です。介護保険法その他の法律は、身元保証人のいない人を想定していません。生涯独身「おひとりさま」の優雅で気楽な生活も、待ち受ける厳しい老後の準備があってこそです。
【松ちゃんの独り言】 「高齢者の現金主義は後で大変」
高齢者には、「自動引き落とし」を嫌う方が多く、紙ベースの請求書が届いてから近所の郵便局やコンビニで支払うようです。そんな高齢者が、体調を崩し入退院を繰り返すと、たちまち未納になり携帯や電気が止まったりします。預金残高があっても、家族もなかなか引き出すことができません。キャッシュカードをなくすか暗証番号を忘れる方も多いです。一方で、なんでもスマホ扱いになっていて、本人じゃないとスマホを開けられず預金の出入りがまったくわからないというケースも増えてきたと聞きます。つまり、高齢者の口癖「誰にも迷惑かけないようにしたい」は、ほぼ不可能のようです。引退してからの悠々自適は誠に面倒が多いのです。
それでは、次回もよろしくお願いします。
【松本直樹のプロフィール】
- 1960年
- 石川県金沢市生まれ
- 1984年
- 金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
- 1984年
- 太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
- 1992年
- 証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
- 1992年
- 太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
- 1995年
- 宅建主任者試験合格
- 1996年
- 税理士試験会計2科目合格
- 1997年
- 税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
- 1999年
- 松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
- 2006年
- 株式会社ケーエムエスを設立
- 2014年
- 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
- 2016年
- 合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
- 2018年
- 経営革新等支援機関認定
- 2023年
- 「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版