今週の松竹梅第593号「青色申告特別控除を理解する」
ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】
配信日:2024年11月11日
4年に1回の米国大統領選挙が終わり、日米メディアの期待もむなしくトランプ氏の勝利でした。米国民は理念よりも経済を選んだようです。よく考えれば、候補者のスキャンダルよりも自分の生活が大事なのは当たり前ですね。短期間に日米の国政選挙が正反対の結果になったのは興味深いです。米株マーケットも爆上げで、トランプ様々です。
【今週の松】 「青色申告特別控除のあらまし」
今週は、青色申告特別控除を取り上げます。この控除は10万円、55万円、65万円の3種類ありますが、55万円の要件で電子申告すると、65万円控除を受けられるので、実際は、10万円か65万円の2種類になります。10万円控除はハードルが低く、「青色申告」であれば、無条件で控除を受けられます。意外ですが、期限後申告でも10万円控除は受けられます。
【今週の竹】 「65万円控除の要件」
10万円か65万円かと言われれば、65万円控除が良いに決まってますね。65万円控除の要件は、帳簿要件の他、青色決算書に貸借対照表を添付することです。税理士提出ではなく、自力で確定申告している方は、帳簿要件で引っかかるのでは?と恐れをなして、遠慮して10万円控除で提出しているケースが多いように感じます。「帳簿」の範囲は非常に広いので、ザックリ言うと、事業所得なら、貸借対照表さえ付けていれば、65万円控除対象と考えています。
【今週の梅】 「不動産貸付の場合は事業的規模が必要」
不動産貸付の場合は、「事業的規模」かどうかが重要です。具体的には、「五棟十室」なる基準で運用されています。盲点ですが、事業所得と不動産所得がある場合は、不動産から青色申告特別控除を適用することになっています。よって、1室のみ貸付でも、事業所得で貸借対照表を付けていれば、不動産所得から先に65万円控除を受けることになります。
【松ちゃんの独り言】 「なぜ65万円控除を避けるのか?」
他の税理士事務所から担当替えで不動産貸付業の方の申告書を見ると、事業的規模なのに10万円控除の申告書がかなりあります。驚いたのは、貸借対照表があるにも関わらず10万円控除のケースもありました。理由は推測でしかありませんが、帳簿要件でしょうか。不動産貸付については、賃貸管理のリストだけでも帳簿扱いなので、65万円控除を使わない理由がありません。依頼者に説明なしで、65万円控除を使わないのは、トラブルの元だと思いますがどうでしょうか。
それでは、次回もよろしくお願いします。
【松本直樹のプロフィール】
- 1960年
- 石川県金沢市生まれ
- 1984年
- 金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
- 1984年
- 太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
- 1992年
- 証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
- 1992年
- 太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
- 1995年
- 宅建主任者試験合格
- 1996年
- 税理士試験会計2科目合格
- 1997年
- 税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
- 1999年
- 松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
- 2006年
- 株式会社ケーエムエスを設立
- 2014年
- 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
- 2016年
- 合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
- 2018年
- 経営革新等支援機関認定
- 2023年
- 「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版