今週の松竹梅第612号「よくわかる?相続時精算課税のツボ!」
ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】

配信日:2025年3月24日
2024年分贈与税申告が、先週17日に期限でしたが、この贈与税申告は、贈与税大改正後初めての申告でした。相続時精算課税による申告がもっとあるかと思いましたが、体感としては、制度そのものを理解している方が非常に少ない印象です。興味はあるものの、仕組みがまったく理解できないのでは?と私は考えています。理解を妨げる部分は共通のようです。今回は、今後の贈与の柱になる「相続時精算課税」をサクッと理解しましょう!
【今週の松】 「相続時の精算がわからない?」
相続時精算課税制度を説明していて、もっとも皆さんの顔色が「???」になるのが、まさに「相続時に精算する」ことの意味です。実際の金額で説明します。1000万円を親子間で「通常の」贈与をした場合は、贈与税は、特例贈与で177万円です。一方、相続時精算課税なら、2500万円の特別控除範囲内なので、贈与税は0円です。であれば、だれでも相続時精算課税を選択するはずです。この制度の最大のポイントはここです。相続時精算課税を使った場合は、贈与した親の方が亡くなった場合に、相続財産にその1000万円を加算して相続税を計算することになります。その贈与が20年前だろうと、30年前だろうと、「絶対に」相続財産に加算しなければいけません。
【今週の竹】 「相続時精算課税で考えられるドタバタ」
上記1000万円のたとえ話までは、なんとか理解できたでしょうか。私は、相続時精算課税が一般化すると、以下のドタバタがあり得るのではと心配しています。
・親が制度を理解しているが、子が理解していない、その後、親死亡時に相続時精算課税分を忘れて相続税申告してしまう
・特定の子だけ相続時精算課税で贈与して、相続税申告書で他の兄弟が知って争いになる
・相続時精算課税で自社株を贈与したが、親死亡時には会社は廃業しており自社株の価値が消滅している
なお、相続時精算課税制度は届出書を出して実行するため、税務署は永久データとして申し送りします。よって、申告漏れがあった場合は、100%発覚する仕組みになっています。つまり、一般贈与は税務調査がないと、申告漏れは発覚しませんが、相続時精算課税は、届出や申告が必須なため、要注意です。
【今週の梅】 「相続時精算課税選択のタイミング」
多少は、相続時精算課税が理解できましたか?ここまで理解すると、一般贈与で構わない!こんな制度は使わない!と決意してしまう方がいます。そこで、国税側が編み出したのが、一般贈与の「7年しばり」です。つまり、相続時精算課税に110万円の基礎控除が付けられたのと同時に、一般贈与において、死亡前7年以内の贈与財産は相続財産に加算することとされました。とすると、相続発生が近いのでは?と判断してからの一般贈与は得策ではありませんね。そもそも、認知症が重くなると贈与契約が成立しないことも考慮すべきです。
【松ちゃんの独り言】 「相続時精算課税に向いている財産」
実は、相続時精算課税に向いている財産は明確です。具体的には、自社株や収益不動産、あるいは業績が安定した上場企業も良いですね。ポイントは、時とともに価値の上昇が見込まれるもの、家賃や配当などの収益を下の世代に移転できるものです。この制度で相続時に加算する金額は、贈与時の評価金額です。私の事例でも、これまでこの制度を使ったケースは自社株や不動産が多くて、現金贈与は今シーズンが初めてでした。
それでは、次回もよろしくお願いします!

【松本直樹のプロフィール】
- 1960年
- 石川県金沢市生まれ
- 1984年
- 金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
- 1984年
- 太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
- 1992年
- 証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
- 1992年
- 太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
- 1995年
- 宅建主任者試験合格
- 1996年
- 税理士試験会計2科目合格
- 1997年
- 税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
- 1999年
- 松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
- 2006年
- 株式会社ケーエムエスを設立
- 2014年
- 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
- 2016年
- 合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
- 2018年
- 経営革新等支援機関認定
- 2023年
- 「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版