今週の松竹梅第614号「実録!株式交換の株価効果」

ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】

今週の松竹梅第614号「実録!株式交換の株価効果」

配信日:2025年4月7日

こんにちは。 松本事務所メルマガ「今週の松竹梅」第614号を配信します。 相続税を試算する際に、もっともやっかいな財産は「自社株」です。 株価評価は局面により二転三転しますし、贈与したらしたで事業承継の際に困ることもあり得ます。 今回は、局面によってどれほど株価が上下するか、実際の事例で実感していただきます。

【今週の松】 【今週の松】「売買の株価は相続税評価を使えない」

まず、前提です。資本金1000万円、発行株数400株のA社の純資産は5億6千万円。
直近の相続税評価による株価は48万円でした。しかし、同族間売買の場合は、相続税評価を使えません。A社は中会社(Lの割合90%)ですが、同族間売買では、小会社(Lの割合%50%)として算定する必要があります。
こうして再計算した株価は90万円でした。
A社は諸事情により、同族グループB社を親会社として、「株式交換」を行い完全親子会社になりました。

【今週の竹】 【今週の竹】「株式交換後の株価は?」

さて、株式交換でA社、B社の共通のオーナー株主は A社株をB社に売却したことになりますが、 株式交換の手続きを使うことにより、「売却」は繰り延べられます。 つまり、B社の株式を保有することにより、A社も保有していることになります。 とすると、B社の株価が気になりますね。 同族間売買でのB社株価は92万円でした。単純な理由ですが、B社総資産に占めるA社株式が50%を超えたため、評価方法として純資産方式のみ適用になったのです。これでは、株式交換の効果がまったくありません。

【今週の梅】 【今週の梅】「株式保有特定会社でなければ?」

上記の現象は、組織再編あるあるです。総資産に占める株式有合が50%を割り込めば、通常の評価方法を使えます。 50%を割ったとして計算すると、B社の株価は46万円でした。 この総資産のうちの株式割合を下げることを、税務業界では、「株特はずし」と呼ぶこともあります。「株特はずし」は、むやみに実行すると、否認事例もあるので要注意です。 最後に、B社の相続税評価ですが、なんと25万円でした。 もともとのA社の純資産評価による株価は140万円ですから、株式交換後の相続税評価ですと、純資産5億6千万円の財産がわずか1億円まで圧縮されたことになります。

【松ちゃんの独り言】 【松ちゃんの独り言】「侍タイムスリッパー」

この欄では配信視聴の映画は取り上げないことにしてましたが、あまりの面白さに主義を破ります。笑 この映画は、制作費2600万円の自主映画で、当初は池袋だけの1館公開でしたが、口コミでじわじわ拡大され、ついには日本アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞した奇跡の映画です。そういえば、数年前の「カメラを止めるな!」も同じ流れで大ヒットしましたね。物語の設定、ストーリー、アクション、俳優の演技力など、すべてが驚異的な出来です。 この映画の完成そのものが熱いドラマのようです。 アマゾンで無料配信中です。とりあえず観てくださいね! それでは、次回もよろしくお願いします!

松本直樹

【松本直樹のプロフィール】

1960年
石川県金沢市生まれ
1984年
金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
1984年
太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
1992年
証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
1992年
太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
1995年
宅建主任者試験合格
1996年
税理士試験会計2科目合格
1997年
税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
1999年
松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
2006年
株式会社ケーエムエスを設立
2014年
総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
2016年
合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
2018年
経営革新等支援機関認定
2023年
「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版