今週の松竹梅第616号「配偶者控除と1000万円の壁」
ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】

配信日:2025年4月21日
こんにちは。 松本事務所メルマガ「今週の松竹梅」第616号を配信します。 先週号のメルマガは、「基礎控除と合計所得金額2500万円の壁」でした。 今週は引き続き、所得控除と合計所得の壁についてです。 そもそも、人的控除に合計所得の壁ができたのは最近の改正からです。 所得税率は住民税と合わせると、最高55%にも達しており、税率はこれ以上は上げられないため、控除制限で所得税収を増やしているようです。
【今週の松】 【今週の松】「1000万円の壁」
平成30年の改正で、納税者の合計所得が1,000万円を超えると、配偶者控除・配偶者特別控除は適用不可となりました。
いわゆる1000万円の壁ですね。
この壁は、給与所得控除の上限195万円を考慮すると、給与収入では1195万円になります。年収1195万円は意外と近い壁ですね。
なお、扶養控除には納税者本人による合計所得制限はありません。
つまり、本人が高所得でも扶養控除は使えます。
【今週の竹】 【今週の竹】「縮小が続く給与所得控除」
所得控除ではありませんが、おなじみの「給与所得控除」も、税制改正のたびに縮小されてきました。 平成25年改正以前までは、給与所得控除に上限はなく、年収がどんなに高くても5%控除額が追加されていました。 しかし、平成25年改正で245万円の上限が設定され、その後も220万円、195万円と上限が縮小されています。 しかも、令和2年改正で基礎控除は32年ぶりに増額されましたが、逆に給与所得控除は一律10万円縮小されました。
【今週の梅】 【今週の梅】「年金控除も縮小」
地味な幅ではありますが、「公的年金控除」も、令和2年改正で縮小されています。 以前は、65歳未満で70万円、65歳以上で120万円の控除額でしたが、改正後は、それぞれ、60万円、110万円になりました。 また、ここも合計所得により、2段階さらに縮小することになってます。 意味なく複雑なルールのように思えます。
【松ちゃんの独り言】 【松ちゃんの独り言】「昔は老年者控除がありました」
私が税理士業界に迷い込んだ頃は、現在より人的控除が充実してました。 配偶者控除と配偶者特別控除は、以前はなんと!2本立て上乗せ、つまり、配偶者が収入なし(専業主婦)だと、38万円+38万円=76万円控除でした。 廃止は平成15年です。また、その頃は65歳になると「老年者控除」も使えました。老年者控除は50万円と、なかなか大きな控除額でした。 自分がその年齢に近くなるにつれて、やたらと控除額が削られているような気がします。 それでは、次回もよろしくお願いします!

【松本直樹のプロフィール】
- 1960年
- 石川県金沢市生まれ
- 1984年
- 金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
- 1984年
- 太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
- 1992年
- 証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
- 1992年
- 太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
- 1995年
- 宅建主任者試験合格
- 1996年
- 税理士試験会計2科目合格
- 1997年
- 税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
- 1999年
- 松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
- 2006年
- 株式会社ケーエムエスを設立
- 2014年
- 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
- 2016年
- 合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
- 2018年
- 経営革新等支援機関認定
- 2023年
- 「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版