今週の松竹梅第621号「節税の王道=出張手当を改めて考える」
ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】

配信日:2025年6月2日
こんにちは。 松本事務所メルマガ「今週の松竹梅」第621号を配信します。 設立間もない経営者からの相談で「受けの良いもの」は経営者の手取りを増やすことです。もちろん役員報酬を増やせば所得税や住民税に加え社会保険料も増えます。 これらの負担を増やさずに手取りを増やす方法としては、まず「出張手当=日当」を出すことです。 今回は、出張手当をギリギリまで出すコツを披露します。
【今週の松】 【今週の松】「出張の範囲を広く考える」
出張手当と聞くと宿泊を伴う大がかりなもの、と考える経営者が多いです。
「出張」を広く考えれば出張手当を出しやすくなります。
私ならば、会社を出て近所の取引先に行くのも「出張」と考えています。
距離や外出時間、宿泊付き、海外などで1日あたりの日当の額を変えれば説得力もありますね。もちろん、社長から従業員まで役職別に日当の額を設定してもかまいません。
【今週の竹】 【今週の竹】「消費税の仕入税額控除も適用?」
出張手当は所得税、住民税、社会保険料を差し引かずに全額受け取れる手当ですが、さらに加えて、消費税の節税にもなり得ます。 インボイス制度スタ-ト後でも、出張手当については、旅費交通費として仕入税額控除対象とされました。 例えば、10万円出張手当を払ったとすると、9,090円消費税仕入税額控除対象になります。払った金額が法人経費になり、消費税仕入税額控除対象にもなり、ほぼ全税目節税になりますね。
【今週の梅】 【今週の梅】「ズバリ出張手当の上限は?」
ここまで来ると、当然ですが最後は「いくらまで出せるのか?」 「どこまで否認されないか?」との話題になるかと思います。 税法や通達のどこにも出張手当の上限については記載がありません。 感覚的な目安ですが、国内日帰り出張なら8000円から1万円、 国内宿泊なら1万5000円から2万円、海外出張なら2万円から3万円あたりが上限目安と考えています。
【松ちゃんの独り言】 【松ちゃんの独り言】「年間の出張回数により総額でもめる場合もあり」
今回は、出張手当を取り上げました。 補足ですが、年間の出張回数が あまりにも多い場合は、単価が上限目安だとしても総額が多くなるため税務署側と揉める場合もあります。これも感覚的な意見ですが、経営者1人で年間100万円を超えると要注意です。 ただし、実際の否認事例は非常に少ないのが出張手当です。 理由は、否認指摘を受けた場合に、「では適正な金額はどれくらいなのか?」と反論すると、税務調査官は明確なルールがないので回答しません。 よって、出張手当の否認事例は、税務調査現場で否認指摘を自主的に受け入れてしまった事例が多いと考えています。 それでは、次回もよろしくお願いします!

【松本直樹のプロフィール】
- 1960年
- 石川県金沢市生まれ
- 1984年
- 金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
- 1984年
- 太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
- 1992年
- 証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
- 1992年
- 太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
- 1995年
- 宅建主任者試験合格
- 1996年
- 税理士試験会計2科目合格
- 1997年
- 税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
- 1999年
- 松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
- 2006年
- 株式会社ケーエムエスを設立
- 2014年
- 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
- 2016年
- 合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
- 2018年
- 経営革新等支援機関認定
- 2023年
- 「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版