今週の松竹梅第640号「日米の相続税・贈与税制度は大きく違う」

ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】

今週の松竹梅第640号「日米の相続税・贈与税制度は大きく違う」

配信日:2025年10月20日

こんにちは。 松本事務所メルマガ「今週の松竹梅」第640号を配信します。 先週末は、「みんなで顧問」勉強会として、ロサンゼルス在住の米国税理士である佐野JOHN司氏を招いて、資産税(特に相続税・贈与税)日米比較セミナーを開催しました。 今回メルマガでは、日米相続税・贈与税制度の大きな違いを通して、日本の制度を再認識しましょう。

【今週の松】 【今週の松】「米国では遺留分がほぼ認められない?」

日本では遺言書件数の割に、遺留分侵害額請求が多く、個人的には、親の遺言を否定する行為はどうなのかなと考えることもあります。
米国では、配偶者については「選択的相続分」として、一定の持分を取得する権利があります。
しかし、成人になった子については、選択的相続分は認められていません。
つまり、原則として、子は遺言書に従わなければなりません。

【今週の竹】 【今週の竹】「相続財産の取得費が時価に修正される?」

日本では、相続時に「時価」で財産を引き継いだとして課税します。 ところが、所得税では、元々の購入価額を引き継ぐので、相続財産売却時に、多額の所得税が課税されることがあります。 米国では、相続時の時価で取得価額が修正されるので、所得税で再び多額の課税をされることはありません。 しかも、相続発生後6ヶ月後の時価との選択でも構わないとのことです。

【今週の梅】 【今週の梅】「驚きの基礎控除」

日本の相続税の基礎控除は3000万円+法定相続人数×600万円です。 ところが米国の遺産税(相続税)の基礎控除は、現在1361万ドルで、日本円だと20億円と、超高額です。 さすがに基礎控除20億円だと、私だと相続税申告は1件も経験せずに引退しそうです。 ただし財産名義移転手続きは非常に厳しく、米国での資産税務はこの手続きを正確に行うことが重要とのことです。

【松ちゃんの独り言】 【松ちゃんの独り言】「米国の日本人向け税務マーケット事情」

佐野氏によると、米国内の在住日本人は40万人、日系人は160万人で、日米両国の相続税・贈与税申告を手がけている税理士は、知る限り他にいないとのことです。 つまり、日米両方の相続税・贈与税相談を受け付ける窓口は佐野氏のみらしいのです。 読者の皆さん、家族の誰かが米国在住か米国内の不動産や証券口座がある場合は、相談を受け付けますよ。

松本直樹

【松本直樹のプロフィール】

1960年
石川県金沢市生まれ
1984年
金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
1984年
太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
1992年
証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
1992年
太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
1995年
宅建主任者試験合格
1996年
税理士試験会計2科目合格
1997年
税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
1999年
松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
2006年
株式会社ケーエムエスを設立
2014年
総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
2016年
合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
2018年
経営革新等支援機関認定
2023年
「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版