今週の松竹梅第641号「婚姻20年以上で贈与税の配偶者控除が使える!」

ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】

今週の松竹梅第641号「婚姻20年以上で贈与税の配偶者控除が使える!」

配信日:2025年10月27日

こんにちは。 松本事務所メルマガ「今週の松竹梅」第641号を配信します。 昨年の贈与税大改正以来、暦年贈与と相続時精算課税についての質問が多くなりました。 どちらもタイミングによっては、相続税申告の際に持ち戻しがあるため悩ましい選択です。 ところが、婚姻20年以上の夫婦間で、居住用財産を贈与する場合は、2000万円の贈与税非課税の特例があります。 この特例は「持ち戻し」がないので、相続税対策がやりにくくなった状況でも適用できる制度なのです。

【今週の松】 【今週の松】「特例の概要」

この特例の「居住用財産」は、現在住んでいる自宅でも、今から自宅を購入するための資金でもどちらでも適用可能です。
ただし、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その自宅に住んでおり、引き続き住む見込みが要件です。
特例対象となる配偶者控除額は2000万円ですが、基礎控除110万円とは別枠になります。なお、この特例は、同じ配偶者からは生涯に1回限りの適用です。

【今週の竹】 【今週の竹】「特例対象になるかどうか?①」

この特例の対象となる「居住用不動産」は適用範囲が意外と広いです。 例えば、夫が借地に建物を所有して夫婦で居住している場合に、夫が地主から底地を買い取り、妻名義で登記したとしても、底地は「居住用不動産」となり、特例が使えます。 この借地権も夫から妻に贈与があったとして取り扱われますが、この部分も「居住用不動産」に該当するため、特例が使えます。

【今週の梅】 【今週の梅】「特例対象になるかどうか?②」

上記と似たケースですが、夫が土地を妻に贈与して、その土地の上に建物を建築して夫婦で居住した場合でも、その土地は「居住用財産」に該当するため特例が使えます。 ただし、このケースで夫が代表の法人名義で建物を建築して夫婦でその建物に居住しても、その土地は居住用財産ではありません。 つまり、この土地は、貸付不動産に該当するため、特例は使えません。

【松ちゃんの独り言】 【松ちゃんの独り言】「特例適用後に離婚したら?」

贈与税の配偶者控除は、別名「おしどり贈与」と言われています。 それでは、この特例を使って居住用不動産を贈与した後、離婚した場合はどうなるのでしょうか? この特例は、「贈与を受けた者が住んでおり、引き続き住む見込みであること」を要件としています。よって、離婚後も住み続けていれば問題ありません。 贈与直後に離婚して売却した場合は、特例適用について税務署から指摘される可能性はあります。 それでは、次回もよろしくお願いします!

松本直樹

【松本直樹のプロフィール】

1960年
石川県金沢市生まれ
1984年
金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
1984年
太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
1992年
証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
1992年
太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
1995年
宅建主任者試験合格
1996年
税理士試験会計2科目合格
1997年
税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
1999年
松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
2006年
株式会社ケーエムエスを設立
2014年
総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
2016年
合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
2018年
経営革新等支援機関認定
2023年
「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版