今週の松竹梅第643号「祖父母が孫に長年贈与した通帳と印鑑はどこにある?」
ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】

配信日:2025年11月10日
こんにちは。 松本事務所メルマガ「今週の松竹梅」第643号を配信します。 前回、前々回と贈与をテーマにしています。実は贈与については、今後の話題と言うよりも、すでになされた「贈与」の方が悩みの種かもしれません。メルマガ読者の両親(祖父母)が孫(メルマガ読者の子)に毎年110万円ずつ贈与していた。口座名義も孫名義。 しかし、孫本人は知らない、口座通帳も持っていない。そうこうするうちに、相続が発生してしまった。 さあ、みなさんならどうしますか。
【今週の松】 【今週の松】「祖父母が通帳も印鑑も保管」
祖父母が通帳も印鑑も保管しており、孫本人も両親も知らないケース。
これは、贈与は成立していないので、典型的な名義預金になるケースです。
この状況だと、祖父母側が「勝手に」贈与税申告書を提出していても名義預金と指摘されれば反論が難しいです。
この状況が続いている場合は、祖父母が元気なうちに、事情をしっかり話して孫本人(場合によっては親)に通帳と印鑑を渡して、「預かっていた、成長してようやく渡すタイミングになった」と説明すると贈与成立の可能性も出てきます。
【今週の竹】 【今週の竹】「親が通帳も印鑑も保管」
祖父母が孫名義口座に毎年110万円送金しており、通帳と印鑑を親が預かっており、孫本人は贈与も口座も知らないケース。 このケースは孫が未成年の場合は、親が法定代理人になるため、贈与契約は成立していると説明が可能です。 孫が成年だと、本人が知らないと贈与が成立しません。 よって、未成年の頃から110万円贈与を続けていた場合、成年になるタイミング、一歩譲って、卒業就職のタイミングで通帳と印鑑を渡すのもチャンスだと考えます。
【今週の梅】 【今週の梅】「関係者納得のポイントは?」
この種のケースに遭遇すると、良く聞くのが次のフレーズ。 「先に渡すと使ってしまうから心配」「本当に必要な時期まで教えたくない」気持ちはわかりますが、このフレーズって、贈与契約成立してないことを自白してますよね。 であれば、孫本人に「その都度」贈与事実を伝えて、親が「その日までは」預かるのが、税務署員も含めて関係者が納得する方法だと考えます。
【松ちゃんの独り言】 【松ちゃんの独り言】「おすすめしたい安全で強力な贈与プラン」
せっかくの贈与資金を名義預金と指摘されてはガッカリです。 とは言え、完全に渡すのもどうも・・・、との祖父母や両親の気持ちも理解できます。 であれば、米ドル建ての運用型生命保険を孫口座から自動引き落としで払い込む仕組みがおすすめです。年払いなら贈与資金の送金も1回ですみますね。 孫本人のメイン口座を使っても、贈与資金は使い込まれる心配なく、長期運用で増やしながら、名義預金指摘の心配もほぼ無用です。 それでは、次回もよろしくお願いします!

【松本直樹のプロフィール】
- 1960年
- 石川県金沢市生まれ
- 1984年
- 金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
- 1984年
- 太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
- 1992年
- 証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
- 1992年
- 太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
- 1995年
- 宅建主任者試験合格
- 1996年
- 税理士試験会計2科目合格
- 1997年
- 税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
- 1999年
- 松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
- 2006年
- 株式会社ケーエムエスを設立
- 2014年
- 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
- 2016年
- 合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
- 2018年
- 経営革新等支援機関認定
- 2023年
- 「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版