今週の松竹梅第645号「ファンドラップ口座の問題点(後編)」

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今週の松竹梅第645号「ファンドラップ口座の問題点(後編)」

配信日:2025年11月25日

こんにちは。 松本事務所メルマガ「今週の松竹梅」第645号を配信します。 前回は、ファンドラップ口座の問題点として、毎年計上される運用手数料を指摘しました。ただし、ここ数年の株式市場は堅調だったので、 運用成績はまあまあでしょうし、お客様も運用が良ければ手数料が高くても納得するでしょう。ファンドラップ口座の本当の問題点は運用成績ではありません。 個人的には、高齢者は絶対契約してはいけないと考えています。

【今週の松】 【今週の松】「認知症になると大変な事態に!」

ファンドラップは、判断を金融機関に一任する「投資一任契約」です。
とすると、口座保有者が認知症になって判断能力が低下した場合、「解約」「運用方針見直し」「資金の引き出し」が一切できなくなります。
もちろん家族が、「老人施設入居費用に使いたい」「自宅をリフォームしたい」などと事情を伝えても、口座は凍結状態になります。
認知症が進んだ場合は「契約行為」ができなくなることを契約時に認識していなければ深刻な事態を招きます。

【今週の竹】 【今週の竹】「死亡時の強制解約」

上記の逆パターンですが、ファンドラップは本人との投資一任契約ですから、契約者が亡くなった時点で、自動的に契約が終了します。 結果として、口座内のファンドは自動的に解約・換金されます。 つまり、相続人が「長期継続保有したい」「換金するタイミングが悪い」と考えていても、認められることはありません。

【今週の梅】 【今週の梅】「何のために運用するのか?」

本来、資産運用の目的は、「老後の生活資金確保」「将来の不安軽減」「家族への資産承継」でしょうか。ところが、ファンドラップは、本当に必要なタイミングで「資産が凍結され」、亡くなると「相続人の意思と関係なく解約される」仕組みなのです。 日本有数の金融機関の立派なチラシを眺めながら検討するときは、必ず私の注意喚起を思い出してください。

【松ちゃんの独り言】 【松ちゃんの独り言】「これを言っては身も蓋もないけど・・・」

2回にわたり、徹底的にファンドラップの問題点を指摘しました。 実は、運用の世界では、触れてはいけないタブーがまだあります。 それは、ファンドマネージャーなどの専門家が運用しているファンドは、はたして、指数連動型のファンド(日経225連動型やS&P500連動型)に勝っているのか?との素朴な疑問です。 ファンドのレポートや業界紙を見ると、残念ながら長期運用に絞ると、インデックスファンドを上回るファンドは1割程度とのことです。 しかもファンドラップでは、「大人の事情で」インデックスファンドを組み入れない傾向があります。 以上、独り言でした。 それでは、次回もよろしくお願いします!

松本直樹

【松本直樹のプロフィール】

1960年
石川県金沢市生まれ
1984年
金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
1984年
太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
1992年
証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
1992年
太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
1995年
宅建主任者試験合格
1996年
税理士試験会計2科目合格
1997年
税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
1999年
松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
2006年
株式会社ケーエムエスを設立
2014年
総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
2016年
合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
2018年
経営革新等支援機関認定
2023年
「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版