今週の松竹梅第613号「贈与の前にまず相続税の試算が先!」

ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】

今週の松竹梅第613号「贈与の前にまず相続税の試算が先!」

配信日:2025年4月1日

こんにちは。 松本事務所メルマガ「今週の松竹梅」第613号を配信します。 確定申告シーズンが終わって、私はしばらくもやもやしていました。 何をもやもやしていたかと言いますと、お客様に(来たるべき)相続の準備を行っている方がほぼいないことです。 我々は専門家なので、このままだと相続の際に 困りますよ!と考えるのですが、以前より意識は多少進んだとは言え、この話題はあまり楽しいものではありません。 どうしても、「えっ、あっ、まあそのうち考えるから」とかわされ、あっという間に年月は経過します。 今回は、贈与の前にまず相続税の試算が先!についてです。

【今週の松】 「相続税対策は贈与の前にまず相続税額の確認」

令和6年からスタートした贈与税大改正で、昨年は質問相談が非常に多かったのですが少々気になることが・・・。相談者はほぼ全員、相続税の見積もりを出していませんでした。
つまり、「贈与すると相続税が安くなる!」なる記事に反応したわけです。
多いのが自宅と多少の金融資産で1億以上あるから、「一刻も早く預金を減らさないといけないでしょ?」と同意を求められることもあります。
しかし、東京都内で小規模特例を使うと、資産が1億円超でも、基礎控除範囲内で相続税0円だったりします。

【今週の竹】 「試算すると、あれ?そんなもんですか?」

では実際に相続税試算をしてみましょう。 父親の財産は自宅(土地9000万円、建物1000万円)と金融資産1億円、相続人は母親、長男、長女の4人家族を想定しました。 自宅は母、金融資産を法定相続分でわけるとしましょう。 とすると、配偶者の税額軽減、小規模宅地の特例もフルに使えます。 控除できるものがない、として相続税はどれくらいでしょうか。 このケースだと、総額で約430万円です。 資産2億円に対して2%前半です。 皆さん、驚くほど安いという印象ではないでしょうか。

【今週の梅】 「相続税は資産総額ではなく家族構成が重要」

さて、先ほどの試算だと相続税は意外と安い!との印象でした。 では、設定を変えて、同じ資産で父親と長男、長女の3人家族ならどうでしょうか。 長男も長女も現在は父親と同居しておらず、他地域で持ち家に居住しているとします。 この設定で、2人で半分ずつ財産をわけたとすると、相続税はどうなるでしょうか。 この試算だと相続税総額は3340万円になりました。 どうでしょう、相続税って意外と安いな、との印象とは正反対にかなりインパクトのある税額です。 しかも、家族構成を再確認してください。 同じ家族で、母親が先に亡くなっただけなので、特に極端な想定をしたわけではありません。 私は、相続案件の相談があった場合、まず最初に法定相続人を、次に自宅の状況を確認します。この2点で概ね税額の規模感がわかるからです。

【松ちゃんの独り言】 「相続対策は長い目で」

私も長年この税理士稼業を続けていますが、相続税業務は奥が深くて100点満点の正解はなかなか見つけられずにいます。 例えば、銀行と不動産会社が大好きな、「土地があるから借入で賃貸ビルを建設しましょう!」との「節税プラン」は定番です。でも下の世代が、借入金返済や不動産管理業務を苦痛に感じていたら、その一族は幸せなのでしょうか? 例えば、3人の子供には「絶対」平等にわける!とある会長は息巻いてました。 会長の後を継いだ長男社長は、「永久に」現金にならない自社株をもらい、2人の弟と妹には「平等にするため」代償金として、借り入れた現金を渡しました。 これは本当に平等なのでしょうか? 上の世代が「世間の常識」と考える相続は、実は独りよがりの思い上がりになっていることが多いものです。相続でもっとも不足してはいけないもの、それは財産ではなく、コミュニケーションです。 それでは、次回もよろしくお願いします!

松本直樹

【松本直樹のプロフィール】

1960年
石川県金沢市生まれ
1984年
金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
1984年
太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
1992年
証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
1992年
太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
1995年
宅建主任者試験合格
1996年
税理士試験会計2科目合格
1997年
税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
1999年
松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
2006年
株式会社ケーエムエスを設立
2014年
総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
2016年
合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
2018年
経営革新等支援機関認定
2023年
「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版