今週の松竹梅第615号「基礎控除と合計所得金額の2500万円の壁」

今週の松竹梅第615号「基礎控除と合計所得金額の2500万円の壁」

配信日:2025年4月14日

こんにちは。 松本事務所メルマガ「今週の松竹梅」第615号を配信します。 所得税確定申告シーズンのたびに、所得税は、法人税や相続税よりも複雑な上に、基礎的な事項も周知されていないことを痛感します。 最近も「103万円の壁」を「160万円の壁」とする案の報道がありましたが、一般の方々の関心がもう一つですね。 このメルマガでは、改めて所得税の、ここまでは知っていてほしい事項を順次紹介していきます。 今回は、「基礎控除」と「合計所得金額」です。

【今週の松】 【今週の松】「基礎控除の歴史と2500万円の壁」

基礎控除は、所得税法当初の昭和22年から存在しており、スタートは1万円、昭和63年年に38万円になってから延々据え置きでした。次の改正が令和2年の48万円と、据え置きが異常に長いですね。しかも、合計所得が2400万円を超えると、基礎控除が減額となり、2500万円で0円になります。
つまり、2500万円以上稼ぐと、基礎控除なしと、高額所得者に厳しい改正になりました。

【今週の竹】 【今週の竹】「合計所得金額はどの金額?」

ところで、「合計所得金額」は確定申告書のどこに書いてあるのでしょうか?個人事業主だと、住宅ローンの審査で真っ先に聞かれる重要な金額です。 確定申告している方で、自分の合計所得を聞かれて申告書を見ながらすぐ答えられる方は1割くらいかなと、私は考えています。 では申告書を見てみましょう。第1表左側の上から「収入」「所得」「所得控除」ですね。つまり、真ん中の「所得」の一番下に合計欄があります。 ここに金額が書いてあれば、それが合計所得です。

【今週の梅】 【今週の梅】「合計欄が空欄?」

ところが、私に申告書を依頼している方の多くは、この合計欄がソフト上では空欄になっています。これは、不動産譲渡や株式売買、退職金など分離課税所得があると、第3表が追加され、第1表合計欄が空欄になる仕組みです。 では第3表に記載があるのかというと、なんと!第3表の合計欄も空欄なのです。 なんじゃあこりゃ!とよく見ると、第1表右下の「その他」として「公的年金等以外の合計所得金額」が記載される仕組みです。 結局、基礎控除がなくなる2500万円判定の「合計所得金額」は、該当しそうな方ほど空欄になっている不可思議な状況です。

【松ちゃんの独り言】 【松ちゃんの独り言】「なぜ公的年金等以外?」

確定申告書のもやもやポイントですが、なぜ肝心の「合計所得金額」が空欄になり、「公的年金等以外の」は明確に記載されるルールなのでしょう。 理由は、令和2年以後、税制改正により、公的年金控除に「公的年金以外の合計所得金額」を使って計算する必要が発生したためとのこと。 ますますモヤモヤしますね。 それでは、次回もよろしくお願いします!

松本直樹

【松本直樹のプロフィール】

1960年
石川県金沢市生まれ
1984年
金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
1984年
太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
1992年
証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
1992年
太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
1995年
宅建主任者試験合格
1996年
税理士試験会計2科目合格
1997年
税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
1999年
松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
2006年
株式会社ケーエムエスを設立
2014年
総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
2016年
合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
2018年
経営革新等支援機関認定
2023年
「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版