今週の松竹梅第624号「法人税務調査には勝ちパターンがある!」
ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】

配信日:2025年6月23日
こんにちは。 松本事務所メルマガ「今週の松竹梅」第624号を配信します。 毎年6月下旬になると、「ある事」でほっと一息です。 「ある事」とは、法人の税務調査です。税務署の事務年度は、毎年7月から翌年6月なので、今は年度末の後始末シーズンなのです。 ほっと一息は、6月は新規着手がないとわかっているからです。
【今週の松】 【今週の松】「税務署の人事異動と人事考課」
税務調査官もサラリーマンなので、良い成績を出して昇進しようとします。
よって、税務署内の人事異動と人事考課のタイミングを知っていると、調査の際に何かと役に立ちますし、安心感もあります。
税務調査官の人事考課は、年度分は3月で締めて、統括官が4月にまとめて5月前半には国税局でまとめられます。ところが、2月後半から3月中旬は、所得税確定申告シーズンで、法人税部門担当者も応援のため、税理士事務所も多忙のため、法人税務調査は休戦になります。
ここから読み取れるのは、法人調査官が「頑張る」のは、秋から冬ということです。
秋着手案件は通常12月中に完了しますが、同じ事務年度なので、大きな案件だと越年します。税務職員は毎年6月に人事異動の内示があり、7月前半に一斉に異動します。
【今週の竹】 【今週の竹】「税務調査は6月には必ず決着する」
さて、次に税務調査の年間スケジュールです。 法人税務調査は、上半期(7月~12月)と下半期(翌1月~6月)に分かれています。 上半期と下半期は大きく違います。上半期は異動直後でもあり、人事考課のど真ん中で、時間もたっぷりあります。しかし、下半期は、1月前半の休み、2月後半から3月中旬の確定申告応援、3月の人事考課締め、6月の人事異動、事務年度完了のため、大きな案件は進めにくいのです。 なお、6月中によほどの事情がなければ、翌事務年度に引継ぎはありません。 よって、私は2月前半に調査通知があった場合、「スケジュールが合わない」と言って、3月後半以降のスタートをお願いしています。このタイミングだとエンドが6月中と近いため、粘れば粘るほど交渉が有利になるからです。
【今週の梅】 【今週の梅】「決算月で調査リスクがまったく違う」
ここまで、税務署内の内部事情を伝えてきました。結果として決算月によって調査に行きやすい法人がわかります。明確なルールではありませんが、 多くの税務署では、2月~5月決算法人を上半期に、残りを下半期に選定しています。 例えば、3月決算法人は法人数も多いし、業績や規模も大きな法人が多いので、上半期でじっくり調査期間が取れます。逆にもっとも安全な決算月は?と考えると、1月決算、次に12月決算ですね。1月決算法人ならば、申告書提出は3月末なので、新規案件としての着手が4月以降になります。このタイミングだと、人事考課も締めており、しかもエンドが6月なので、対応する側としては有利この上ない状況です。
【松ちゃんの独り言】 【松ちゃんの独り言】「税務調査には勝ちパターンがある」
私は今回メルマガのように、税務調査対応では、税法以外の部分での勝ちパターンをかなり知っています。 この「勝ちパターン」は、ある国税OBから学んだ知識です。 勝ちパターンを知らないと、税法での議論になりますが、税法は曖昧にできているので、そうなると勝ちパターンに持ち込めません。 次回は、勝ちパターンの続編をお届けします。 それでは、次回もよろしくお願いします!

【松本直樹のプロフィール】
- 1960年
- 石川県金沢市生まれ
- 1984年
- 金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
- 1984年
- 太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
- 1992年
- 証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
- 1992年
- 太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
- 1995年
- 宅建主任者試験合格
- 1996年
- 税理士試験会計2科目合格
- 1997年
- 税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
- 1999年
- 松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
- 2006年
- 株式会社ケーエムエスを設立
- 2014年
- 総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
- 2016年
- 合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
- 2018年
- 経営革新等支援機関認定
- 2023年
- 「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版