今週の松竹梅第599号「自宅売却3000万円控除の落とし穴②」

ビジネスに役立つ!税務最新情報【今週の松竹梅】

今週の松竹梅第599号「自宅売却3000万円控除の落とし穴②」

配信日:2024年12月23日

先週末にようやく「税制改正大綱」が与党から公表されました。しかし、所得税のいわゆる「103万円の壁」をどこまで引き上げるかで政党による勢力争いがあり、いったん「123万円の壁」で発表されたものの、「178万円の壁」を目指す?との方向です。与党が弱くなると、品のない減税やバラマキで、税制が意味なく複雑になりますね。

【今週の松】 「建替で庭を売却した場合は?」

先週に引き続き、自宅売却の3000万円控除特例についてです。まず、意外と聞くケースですが、自宅が古くなったため、建て替えを計画して、その際に敷地の一部を売って建築資金に充当する場合はどうでしょうか?この場合は、「先に自宅取り壊しを完了」後に、敷地の一部を売却して、その後に新築工事開始であれば特例が使えます。なお、この場合取り壊し後1年以内に売却を済ませている必要があります。

【今週の竹】 「自宅を改築して敷地の一部を売った場合は?」

上記と似たケースですが、自宅を完全に取り壊さないで、一部残して引き続き居住しており、空いた敷地を売却した場合はどうでしょうか?この場合は、上記と違って、3000万円特例は使えません。建物が一部でも残っていると、3000万円控除は対象外になるので要注意です。

【今週の梅】 「老人ホーム入居後に売却した場合は?」

相続税の小規模宅地特例では、老人ホームに入居している場合でも要件が緩和されて使いやすくなっています。しかし、3000万円特例では、老人ホーム入居後でも、「住まなくなった日から3年経過した年の12月31日までに売ること」なる要件は共通です。つまり、「とりあえず」ホームに入居してから自宅を手放す判断に迷っている場合は、特例が使えなくなることもあるので要注意です。

【松ちゃんの独り言】 「年末年始は9連休?」

今年の年末年始は、27日が金曜日のため「9連休」になる方が多いようです。私は国内で静かに過ごす予定です。相続対策や事業承継など、日頃は避けて通る話題をゆっくり考えられる時期です。考えれば考えるほど、いろいろ疑問が出てくるかと思います。そんなときは遠慮なく連絡ください。一緒に考えましょう。
 それでは、次回もよろしくお願いします。

松本直樹

【松本直樹のプロフィール】

1960年
石川県金沢市生まれ
1984年
金沢大学法文学部経済学科を5年で卒業(ドイツ語で1年間落第する)
1984年
太平洋証券(今の三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、主に債券トレーダー、デリバティブ業務に従事
1992年
証券アナリスト2次試験合格(会費未納で、アナリスト協会は退会)
1992年
太平洋証券退職後、税理士事務所へ転職
1995年
宅建主任者試験合格
1996年
税理士試験会計2科目合格
1997年
税理士試験税法3科目合格(税理士試験終了)→ちなみに法人税、所得税、消費税です
1999年
松本直樹税理士事務所として独立開業→税理士事務所の同僚(松本清美)と結婚ダブル寿退職
2006年
株式会社ケーエムエスを設立
2014年
総合コンサルチーム「みんなで顧問」結成
2016年
合同会社「みんなで顧問」設立(代表社員就任)
2018年
経営革新等支援機関認定
2023年
「マンガでコミュニケーション みんなの相続」出版